【共同住宅】なぜ分譲マンションの多くは「鉄筋コンクリート造」なのか?知っておきたい“耐火”のしくみ

共同住宅の設計

分譲マンションを探していると、物件概要の構造欄に「RC造(鉄筋コンクリート造)」と書かれているのをよく見かけませんか?

「木造のアパートより頑丈そう」というイメージを持つ方は多いと思います。
実際、分譲マンションでRC造が多く採用されるのには、遮音性・耐久性・耐震性に加えて、火災に強い建物を計画しやすいという大きな理由があります。

今回は、設計実務の視点から、分譲マンションと「耐火」の関係をできるだけ分かりやすく解説します。


1. そもそもRC造(鉄筋コンクリート造)が選ばれやすい理由

分譲マンションは、長く住み続けることを前提とした「資産性の高い建物」です。
そのため、建物には高い性能が求められます。RC造は、主に次のような点でマンションと相性が良い構造です。

  • 遮音性が高い
    コンクリートは質量が大きいため、音を伝えにくい性質があります。上下階や隣戸との生活音対策として有利です。
  • 耐久性・耐震性を確保しやすい
    鉄筋は引張力に強く、コンクリートは圧縮力に強いため、両者を組み合わせることでバランスのよい構造になります。適切に設計・施工されたRC造は、耐久性や耐震性の面でも優れています。
  • 耐火性能を確保しやすい
    コンクリートは不燃材料であり、火災時にも性能を確保しやすい材料です。マンションのように防火上の性能が重視される建物では、大きなメリットになります。

2. 火災から人命と資産を守る「耐火構造」と「耐火建築物」

マンションのように多くの人が居住する建物では、建築基準法上、防火に関する性能が重要になります。
ここで押さえておきたいのが、**「耐火構造」「耐火建築物」**の違いです。

耐火構造とは?

これは、壁・柱・床・梁・屋根などの主要構造部が、火災時に一定時間、倒壊や延焼を防げる性能を持つ構造のことです。

RC造は、コンクリートで鉄筋を覆うことで熱の影響を受けにくくできるため、耐火構造を実現しやすいという特徴があります。

なお、鉄骨造(S造)の場合は、鉄骨そのものが高温で強度低下しやすいため、耐火被覆などによって必要な耐火性能を確保するのが一般的です。

耐火建築物とは?

耐火建築物は、建物全体として高い防火性能を備えた建築物です。
主要構造部の性能だけでなく、外壁の開口部なども含めて、火災時の延焼防止が求められます。

中高層の分譲マンションでは、こうした高い防火性能が必要になることが多く、RC造はその要求に対応しやすい構造といえます。


3. 設計で重要になる「延焼のおそれのある部分」と「防火設備」

建物の防火設計で必ず確認するのが、「延焼のおそれのある部分」です。
これは、隣地や道路を挟んだ向かい側で火災が起きたときに、火の影響を受けやすい範囲を指します。

一般的には、開口部まわりについて次のような範囲が目安になります。

  • 1階部分: 隣地境界線や道路中心線から3m以内
  • 2階以上: 隣地境界線や道路中心線から5m以内

この範囲の窓やドアには防火設備が必要

たとえ壁がコンクリートでできていても、窓が通常仕様だと、火災時の熱で破損し、そこから炎や熱が侵入するおそれがあります。

そのため、延焼のおそれのある部分に設ける開口部には、防火設備の使用が求められます。
たとえば、以下のようなものです。

  • 防火戸
  • 網入りガラス
  • 耐火ガラス
  • 防火性能を持つサッシ

つまり、マンションの防火性能は、
「コンクリートの躯体」だけで成り立つのではなく、開口部の防火設備とセットで成立しているのです。


まとめ:マンション選びでは「構造」と「防火性能」にも注目

分譲マンションでRC造が多く採用されるのは、単に「頑丈そうだから」だけではありません。

  • 遮音性を確保しやすい
  • 耐久性・耐震性を確保しやすい
  • 耐火性能を確保しやすい

こうした性能のバランスがよく、マンションに求められる条件に合っているからです。

特に火災に対しては、主要構造部の耐火性能開口部の防火設備を組み合わせることで、建物全体の安全性が高められています。