【共同住宅】住宅性能評価・BELS・ZEH-Mの違いとは?共同住宅設計の実務目線で整理

共同住宅の設計

共同住宅や分譲マンションの設計をしていると、

• 住宅性能評価

• BELS

• ZEH-M

という言葉をよく見かけます。

最近の新築分譲マンションでは、

• 「住宅性能評価取得」

• 「BELS取得」

• 「ZEH-M Oriented採用」

といった表現が並ぶことも多く、違いが分かりにくいと感じる人も多いのではないでしょうか。

この記事では、共同住宅設計の実務目線で、それぞれの役割や関係性を整理します。


まず結論|3つの違い

まずシンプルに整理すると、3つの役割は次のとおりです。

制度役割
住宅性能評価住宅の性能を幅広く評価する制度
BELS建築物の省エネ性能を評価・表示する制度
ZEH-M共同住宅向けのZEH基準。実務上はBELSを用いて評価・表示されることが多い

つまり、

> 住宅性能評価は「建物全体の品質評価」

> BELSは「省エネ性能評価」

> ZEH-Mは「共同住宅におけるZEH水準の達成」

と整理すると分かりやすいです。

なお、住宅性能評価を取得していても、自動的にBELSやZEH-Mが付くわけではなく、それぞれ別途の評価や申請が必要です。


住宅性能評価とは?

住宅性能評価は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づく制度です。

住宅について、

• 耐震性

• 劣化対策

• 維持管理対策

• 温熱環境

• エネルギー消費量

など、複数の性能項目を幅広く評価します。

分譲マンションでは、次の2つを取得するケースが多く見られます。

• 設計住宅性能評価

• 建設住宅性能評価

分譲マンションで取得が多い理由

分譲マンションで住宅性能評価がよく取得される背景には、次のような理由があります。

• 品質の見える化につながる

• 販売時の安心材料になる

• 資産価値の説明に使いやすい

• 住宅ローンや各種優遇制度との相性がよい

• 設計図書と施工内容の整合確認につながる

実務では、性能評価図書の整合や現場検査対応も必要になるため、設計初期から検討されることが多い制度です。


BELSとは?

BELS(ベルス)は、

> 建築物省エネルギー性能表示制度

のことです。

建築物の省エネ性能に特化した制度で、主に次のような内容を評価します。

• 外皮性能

• 一次エネルギー消費量

評価結果は、

• 星の数による表示

• BEI

• 省エネ性能ラベル

などで示されます。

最近の分譲マンション広告でも、

> 「BELS取得」

という表現を見かけることが増えています。

住宅性能評価が建物全体の性能を幅広く見る制度であるのに対し、BELSは省エネ性能に焦点を当てた制度と考えると分かりやすいです。


ZEHとは?

ZEH(ゼッチ)とは、

> Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)

の略称です。

断熱性能を高め、高効率設備を採用し、さらに太陽光発電などの再生可能エネルギーを導入することで、

> 年間の一次エネルギー消費量をおおむねゼロ以下にすることを目指す住宅

を指します。

ここでいう一次エネルギー消費量とは、主に次のような用途に関わるエネルギーです。

• 冷暖房

• 換気

• 給湯

• 照明

一般的には、テレビや冷蔵庫などの家電使用分は含まれません。

つまりZEHは、

• 断熱

• 省エネ

• 創エネ

を組み合わせて、住宅のエネルギー消費を抑える考え方です。


ZEH-Mとは?

ZEHが主に戸建住宅で使われる呼び方であるのに対し、共同住宅版のZEHが

> ZEH-M(ゼッチ・マンション)

です。

共同住宅では、

• 高断熱化

• 高効率設備の採用

• 一次エネルギー消費量の削減

によって、省エネ性能の高い建物を目指します。

ZEH-Mには、次のような区分があります。

区分概要
ZEH-M再エネを含め、住棟全体で一次エネルギー消費量収支ゼロを目指す最上位区分
Nearly ZEH-M再エネを含め、ZEH-Mに近い高い削減水準を満たす区分
ZEH-M Ready再エネを含め、ZEH-M実現に向けた一定の削減水準を満たす区分
ZEH-M Oriented再エネに頼りにくい中高層共同住宅向けの区分で、高断熱化と省エネ設備を中心に評価される区分

BELSとZEH-Mの関係

ここが最も混乱しやすい部分です。

実務的には、

> ZEH-Mは共同住宅向けのZEH基準であり、BELS評価を用いて確認・表示されることが多い

という理解が分かりやすいです。

イメージとしては、次のように整理できます。

“`text

BELS(建築物の省エネ性能を評価・表示する制度)

└ その評価の中でZEH基準を満たす

├ ZEH-M Oriented

├ ZEH-M Ready

├ Nearly ZEH-M

└ ZEH-M

“`

つまり、

• BELS=省エネ性能を評価する制度

• ZEH-M=共同住宅におけるZEH水準を示す基準

という関係です。


分譲マンションでZEH-M Orientedが多い理由

最近の分譲マンションでは、

> 「ZEH-M Oriented」

の採用が非常に多くなっています。

大きな理由は、

> 中高層マンションでは、太陽光発電を十分に載せにくい

ためです。

共同住宅、とくに中高層マンションでは、

• 屋上面積が限られる

• 戸数が多い

• 屋上に設備機器スペースが必要になる

といった事情があり、住棟全体で十分な創エネ量を確保しにくいケースがあります。

そのため、

• 断熱性能の向上

• 高効率給湯器

• LED照明

• 高効率空調

• 省エネ設備の最適化

などによって性能を高める、

> 「ZEH-M Oriented」

が現実的な選択肢になりやすいのです。


なぜ分譲マンションは両方取得するのか?

最近の分譲マンションでは、

• 住宅性能評価

• BELS

• ZEH-M

を組み合わせて取得・採用するケースが増えています。

その理由は、それぞれの役割が異なるためです。

制度主な役割
住宅性能評価建物全体の品質や性能を幅広く示す
BELS・ZEH-M省エネ性能や脱炭素対応を示す

つまり、

> 建物全体の品質評価と、省エネ性能評価の両方を見せる

という考え方です。

販売面でも、購入検討者に対して

• 品質面の安心感

• 省エネ性能の分かりやすさ

• 環境配慮や脱炭素対応

を伝えやすくなるため、両方を採用する意義があります。


実務では初期計画が重要

BELSやZEH-Mを取得する場合、後から対応するのは難しいケースも少なくありません。

例えば、次のような要素が大きく影響します。

• 断熱仕様

• 開口部計画

• 設備計画

• 一次エネルギー計算

• 太陽光発電の配置計画

• 共用部を含めた住棟全体の省エネ方針

そのため実務では、

> 基本計画の初期段階で、デベロッパーがどの水準を目指すかを決める

ケースが多く見られます。

特に分譲マンションでは、販売戦略や補助金活用、ブランド方針とも関わるため、早い段階で方向性を固めることが重要です。


まとめ

共同住宅設計でよく出てくる

• 住宅性能評価

• BELS

• ZEH-M

は、それぞれ役割が異なります。

整理すると、次のようになります。

住宅性能評価

建物全体の性能を幅広く評価する制度

BELS

建築物の省エネ性能を評価・表示する制度

ZEH-M

共同住宅向けのZEH基準で、実務上はBELSを用いて確認・表示されることが多いもの

また、共同住宅では、

> 太陽光発電を十分に載せにくい

という特徴があるため、最近の分譲マンションでは

> 「ZEH-M Oriented」

が採用されるケースが増えています。

今後は、

• GX

• 省エネ適判

• 補助金

• 脱炭素政策

などとの関係も含めて、共同住宅設計における省エネ性能の考え方がますます重要になっていくでしょう。

のどれかに整えます。