共同住宅の設計や確認申請では、「ALVS」という言葉が使われることがあります。
ALVSとは、
- A:Area(室面積)
- L:Lighting(採光)
- V:Ventilation(換気)
- S:Smoke exhaust(排煙)
をまとめた、建築実務上の略称です。
法令上の正式用語ではありませんが、実務では、
- ALVS表
- ALVSチェック
- ALVS計算
などの形で使われ、共同住宅の各室が「居室として成立するか」を確認するための基本チェックとして扱われています。
特に共同住宅では、
- バルコニー奥行
- 開放廊下
- 前面建物
- 北側居室
- 窓種
などの条件によって、採光・換気・排煙の成立条件が大きく変わります。
この記事では、ALVSの意味と、共同住宅設計で重要になるポイントを実務目線で整理します。
ALVSとは?
ALVSは、共同住宅などの設計時に、
「その部屋が法的に居室として成立するか」
を確認するための実務的なチェックです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| A | Area(室面積) |
| L | Lighting(採光) |
| V | Ventilation(換気) |
| S | Smoke exhaust(排煙) |
まず室面積(A)を基準として、
- 必要採光面積
- 換気有効開口
- 排煙有効開口
などを確認していきます。
つまりALVSは、共同住宅の「居室成立チェック」を短時間で整理するための実務フレームとも言えます。
建築基準法との関係
ALVSという言葉自体は法令用語ではありません。
ただし内容としては、主に以下の条文と関係しています。
| 項目 | 主な関係条文 |
|---|---|
| 採光・換気 | 建築基準法第28条 |
| 排煙・避難 | 建築基準法第35条 |
特に共同住宅では、
- 採光不足
- 換気不足
- 排煙対象室の整理漏れ
が確認申請の指摘事項になりやすく、基本計画段階からALVSを確認しておくことが重要です。
A:Area(室面積)
ALVSの起点になるのが室面積です。
居室の床面積によって、
- 必要採光面積
- 換気必要量
- 排煙必要量
が決まります。
つまり、面積が増えると必要な窓性能も連動して増加します。
そのため、共同住宅では「面積を先に確定しすぎる」と、後から窓計画が成立しなくなるケースもあります。
L:Lighting(採光)
採光は、ALVSの中でも特に重要な要素です。
住宅の居室では、原則として、
1/7以上の有効採光面積が必要になります。
ただし重要なのは、
有効採光面積=窓面積 × 採光補正係数
で計算される点です。
つまり、単純に窓を大きくすれば良いわけではありません。
共同住宅では、
- バルコニー奥行
- 開放廊下
- 隣棟距離
- 前面建物
- 庇
- 梁型
などによって採光補正係数が変化します。
特に、
- 北側共用廊下面する洋室
- 奥行の深いバルコニー
- ワイドスパン住戸
では採光成立が厳しくなることがあります。
V:Ventilation(換気)
換気についても、建築基準法第28条で規定されています。
住宅居室では一般的に、
1/20以上の換気有効開口が必要です。
実務では、
- 引違い窓
- 縦すべり窓
- FIX窓
など、窓種によって有効率が変わる点に注意が必要です。
意匠性を優先してFIX窓を増やしすぎると、換気不足になるケースもあります。
S:Smoke exhaust(排煙)
排煙は、火災時に煙を外部へ逃がすための規定です。
自然排煙では一般的に、
1/50以上の有効排煙面積が必要になります。
ただし共同住宅では、
- 用途
- 面積
- 階数
- 排煙免除規定
によって、排煙設備が不要となるケースも少なくありません。
そのため、実務では「排煙設備を付けるか」だけでなく、
- そもそも排煙対象室か
- 免除規定に該当するか
を整理することが重要になります。
なぜ共同住宅でALVSが重要なのか
共同住宅では、外部条件によって成立条件が大きく変わります。
例えば、
- バルコニーが深い
- 北側共用廊下に面する
- 隣棟距離が近い
- FIX窓が多い
といった条件では、採光・換気成立が急激に厳しくなることがあります。
その結果、
- 納戸(S)
- サービスルーム
- DEN
として非居室扱いに整理されるケースもあります。
共同住宅の間取りが似る理由
分譲マンションで、
- 南側LDK
- 北側洋室
- 田の字型
- 70㎡前後3LDK
が多いのは、単なる流行ではありません。
実際には、
- 採光
- 換気
- 排煙
- 避難
- 配管
- PS
- コスト
- 構造
を同時に成立させた結果、現在の形に収束している面があります。
つまり共同住宅設計は、ある意味「ALVSとの戦い」とも言えます。
まとめ
ALVSとは、
- 室面積
- 採光
- 換気
- 排煙
をまとめた、共同住宅設計で使われる実務的なチェックです。
特に共同住宅では、
- バルコニー
- 開放廊下
- 前面条件
- 窓種
などによって成立条件が大きく変化するため、基本計画段階からALVSを連動して確認することが重要になります。
次回は「L:採光編」として、
- 採光補正係数
- 北側居室
- バルコニー奥行
- 窓高さと採光
など、共同住宅で採光が厳しくなるポイントを整理します。

