【2025年法改正】「4号特例」から「三号特例」へ!実務者が知っておくべき変更点まとめ

確認申請


これまで当たり前だった「4号特例」が事実上廃止(縮小)され、新たに「三号特例」としての運用になります。

「木造2階建てなら構造計算の提出はいらないでしょ?」という常識は、もう通用しません。重要なポイントを凝縮して解説します。


1. そもそも何が変わるのか?(建築物の区分変更)

改正前(2025年3月まで)は、1号〜4号までの区分でしたが、改正後は「新1号・新2号・新3号」の3つに再編されます。

区分改正前(旧法)改正後(新法:2025年4月〜)
1号特殊建築物(200㎡超)新1号:(変更なし)
2号木造:3階建以上 or 大規模新2号:木造3階建、 木造2階建、木造平屋(200㎡超)など
3号非木造:2階建以上 or 200㎡超新3号: 平屋(200㎡以下)など
4号小規模建築物(2階建・500㎡以下など)(廃止)

ここが重要!

これまで「4号」だった一般的な木造2階建て住宅は、すべて「新2号」に再編(審査厳格化)されます。


2. 新たな「三号特例」の対象と条件

「特例が全部なくなる」わけではありません。ごく小規模な建物については、引き続き三号特例として審査の一部省略が認められます。

三号特例の対象建築物(新3号)

以下の条件をすべて満たす木造建築物鉄筋コンクリート造など木造以外も対象です。

  • 平屋建てであること(2階建てはNG)
  • 延べ面積が200㎡以下であること
  • 高さが16m以下であること(※旧法の軒高9m制限は廃止)

3. 「特例」で何が省略できるのか?

三号特例を受けると、建築確認申請時に以下の図書の「提出・審査」が省略できます。

  • 構造図・構造安全性を確認するための図書(壁量計算など)
  • 一部の仕様規定に関する図書

⚠️ 【超重要】「省略」=「やらなくて良い」ではない!

ここを勘違いすると大変なことになります。

特例はあくまで「確認申請時の図書提出を省いていいよ」と言っているだけで、「基準を守らなくていいよ」と言っているわけではありません。

建築士には、以下の義務が引き続き課せられます。

  1. 壁量計算、四分割法、N値計算などの実施
  2. 構造計算資料の保存(設計図書として備え付ける義務)

4. なぜ「4号特例」は縮小されたのか?

背景には、現代の住宅事情の変化があります。

  • ZEH住宅の増加: 断熱材の厚型化や太陽光パネルの設置により、昔の住宅より屋根が重くなっています。
  • 省エネ基準の義務化: 2025年4月から全建築物で省エネ適合が義務化されるため、構造の安全性もセットで厳格にチェックする必要が出てきました。

「2階建て住宅の倒壊リスクを減らし、省エネ性能もしっかり担保する」という国の方針です。


5. 実務への影響と対策

2025年4月以降、多くの木造2階建て住宅(新2号)で以下の対応が必要になります。

  1. 確認申請の提出書類が増えるこれまでは不要だった「壁量計算書」や「構造図」の提出が必須になります。
  2. 審査期間が長くなるチェック項目が増えるため、これまで数日で通っていた申請に時間がかかる可能性があります。工期設定には余裕が必要です。
  3. 設計コストの変動構造計算や図面作成の負担が増えるため、設計料の見直しが必要になるケースも出てくるでしょう。

まとめ:これからの設計・施工に求められること

今回の改正は、一言でいえば「日本の住宅の質を底上げする」ためのものです。

  • 平屋・200㎡以下なら「三号特例」で簡略化。
  • 2階建て・200㎡超なら「新2号」として構造・省エネ審査の対象。

この境界線をしっかり把握し、お施主様にも「なぜこれまでより申請に時間がかかるのか」「なぜ図面が増えるのか」を丁寧に説明できる準備をしておきましょう。


📝 一言アドバイス

2025年(令和7年)4月の法改正以降、一般的な木造2階建住宅は「新二号建築物」となり、確認申請時に構造関係規定に関する図書の提出が必要になります。

これまでの「旧四号特例」では、壁量計算やN値計算、構造図などの提出・審査が一部省略されていました。

しかし改正後は、多くの木造2階建住宅で、

  • 壁量計算
  • 四分割法
  • N値計算
  • 構造詳細図
  • 基礎関係図

など、構造安全性に関する図書の提出が必要となります。

つまり今回の改正は、

「これまで不要だった構造検討が新たに必要になる」

のではなく、

「従来から必要だった構造検討について、確認申請時に提出・審査されるようになる」

という点が大きな変更点です。

「新3号は平屋・200㎡以下」ということ。実務としては「特例があっても構造計算資料の保管義務がある」という点に注意してください。


出典:国土交通省「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律」資料より構成