分譲マンションの収納計画では、「収納量」だけでなく、どこに・どんな形で・どう使うかが非常に重要です。
特に最近のマンションでは、専有面積を効率良く使うために、
- ウォークインクローゼット(WIC)
- 壁面クローゼット
- シューズボックス(靴箱)
- シューズインクローゼット(SIC)
- パントリー
- リネン庫
など、多様な収納形式が採用されています。
しかし実際には、
- 「収納が多いのに片付かない」
- 「WICが広いのに使いにくい」
- 「玄関収納が足りない」
- 「靴箱はあるのにベビーカーや防災用品が置けない」
というケースも少なくありません。
この記事では、共同住宅の設計実務目線で、
- WIC・クローゼット・靴箱・SICの使いやすい寸法
- 主寝室と子供部屋の収納の考え方
- 棚板サイズの考え方
- 通路幅の目安
- 可動棚の計画ポイント
- よくある失敗例
を分かりやすく整理します。
収納計画で本当に重要なのは「量」より「使いやすさ」
マンションでは「収納率(収納面積÷専有面積)」という考え方があります。
一般的には、専有面積に対して8〜10%程度が一つの目安です。
例えば75㎡の住戸なら、
- 約3.5〜4.5畳程度
の収納量が標準的です。
ただし、収納は単純に広ければ良いわけではありません。
重要なのは、
- 生活動線に合っているか
- 必要な場所に収納があるか
- 奥まで使いやすいか
です。
主寝室はWIC、子供部屋はクローゼットが基本
分譲マンションでは、
- 主寝室 → WIC
- 子供部屋 → 壁面クローゼット
という組み合わせが非常に一般的です。
これは、収納量と専有面積のバランスが良いためです。
主寝室にWICが採用される理由
主寝室では、
- 夫婦2人分の衣類
- 季節物
- スーツケース
- 布団
- バッグ類
など、収納量が多くなります。
そのため、収納量を確保しやすいWICが採用されるケースが増えています。
WIC(ウォークインクローゼット)の基本寸法
片側収納型
- 全体奥行:1200〜1400mm程度
- 収納:約600mm
- 通路:600〜750mm
両側収納型
- 全体奥行:1800〜2000mm程度
- 収納:600mm × 2
- 通路:600〜750mm
WICの棚板サイズと設計の考え方
ハンガーパイプ上の枕棚
推奨奥行
450〜600mm
主な用途
- 季節外衣類
- 布団
- スーツケース
- 使用頻度の低い収納
中段可動棚
推奨奥行
350〜400mm
主な用途
- 畳んだ衣類
- バッグ
- 帽子
- 小型収納ケース
子供部屋は壁面クローゼットが効率的
子供部屋では、WICよりも「壁面クローゼット」の方が採用されることが多くあります。
理由は、WICにすると通路スペースが必要になり、居室面積を圧迫しやすいためです。
特に5〜6畳程度の子供部屋では、
- ベッド
- 学習机
- 本棚
を置く必要があるため、居室寸法を優先した方が使いやすいケースが多くなります。
クローゼットの基本寸法
奥行(D)
標準
550〜650mm程度
ポイント
ハンガーに掛けた衣類が扉に干渉しない寸法として、600mm前後が最も一般的です。
間口(W)の目安
| 用途 | 推奨間口 |
|---|---|
| 子供1人分 | 750〜900mm |
| 子供2人分 | 1500〜1800mm |
玄関収納は「靴箱」と「SIC」で考え方が違う
最近はSIC付きマンションも増えていますが、一般的な分譲マンションでは、まだまだ「靴箱(シューズボックス)」が主流です。
特に70㎡前後の住戸では、
- 靴箱のみ
- 靴箱+物入れ
- コンパクトSIC
など、専有面積とのバランスで計画されるケースが多くあります。
一般的な靴箱(シューズボックス)の寸法
奥行(D)
標準
350〜400mm程度
ポイント
一般的な靴であれば350mm前後で十分収納可能です。
ただし、
- 男性用大型スニーカー
- ハイカット
- ブーツ
を考慮する場合は、400mm程度あると使いやすくなります。
靴箱の間口(W)の目安
| 家族構成 | 推奨間口 |
|---|---|
| 単身 | 800〜1200mm |
| 2〜3人家族 | 1200〜1600mm |
| ファミリー | 1600〜2400mm |
最近の分譲マンションでは、トール型(天井近くまでの高さ)の靴箱が多く採用されています。
靴箱で重要なポイント
可動棚にする
靴は高さが大きく異なるため、固定棚だと無駄が発生しやすくなります。
推奨棚ピッチ
- スニーカー:150〜180mm
- ブーツ:250〜400mm
棚柱(ガチャ柱)による可動棚計画が非常に有効です。
下部を浮かせる
最近のマンションでは、靴箱下部を浮かせる「フロート型」が増えています。
メリット
- 玄関が広く見える
- 間接照明と相性が良い
- 普段履きの靴を置ける
- 掃除しやすい
SIC(シューズインクローゼット)の棚サイズ
SICでは、「靴収納+大型物収納」が重要になります。
標準的な靴棚
推奨奥行
300〜350mm
主な用途
- スニーカー
- パンプス
- 革靴
大型物・アウトドア用品用棚
推奨奥行
450mm前後
主な用途
- 防災備蓄
- ベビーカー
- キャンプ用品
- 工具箱
SICでよくある失敗
通路が狭い
SICは収納量を増やしすぎると、通路幅が不足しやすくなります。
通路幅目安
| 通路幅 | 使い勝手 |
|---|---|
| 600mm | 最小限 |
| 750mm前後 | 使いやすい |
| 900mm以上 | ゆとりあり |
収納タイプ別サイズ早見表
| 収納場所 | 推奨奥行(D) | ポイント |
|---|---|---|
| 主寝室WIC | 600mm+通路600〜750mm | 夫婦収納向け |
| 子供部屋クローゼット | 550〜650mm | 居室を広く使いやすい |
| 靴箱(シューズボックス) | 350〜400mm | 一般的な玄関収納 |
| SIC(靴棚) | 300〜350mm | 最も効率が良い |
| SIC(多目的棚) | 450mm | 防災・アウトドア用品向け |
| パントリー | 300mm | 奥が死蔵化しにくい |
| リネン庫 | 350〜450mm | タオル寸法に合わせる |
よくある収納計画の失敗例
靴箱が足りない
最近は、
- ベビーカー
- 防災用品
- アウトドア用品
- 子供の外遊び用品
など、玄関周りの収納量が増えています。
靴だけでなく、「外で使う物」全体で考えることが重要です。
WICを広げすぎて寝室が狭くなる
収納を増やした結果、ベッド周りの動線が圧迫されるケースがあります。
奥行が深すぎる
奥行900mmあっても、実際に使っているのは手前450mmだけ、というケースは少なくありません。
特に可動棚収納では、「浅く・見渡せる収納」の方が使いやすい場合が多くあります。
まとめ|収納は「広さ」より「使い方」で決まる
マンション収納では、
- 主寝室 → WIC
- 子供部屋 → クローゼット
- 玄関 → 靴箱 or SIC
というように、用途に応じて収納形式を使い分けることが重要です。
大切なのは、
- 何を収納するか
- どこで使うか
- どの頻度で出し入れするか
を想定して寸法を決めることです。
収納は後から増やしにくい部分だからこそ、計画段階でしっかり検討しておきたいポイントです。


