陸屋根の竪樋計算をわかりやすく解説|負担面積・降雨強度・管径選定の基本

共同住宅の設計

陸屋根の雨水排水を計画するとき、竪樋のサイズをどう決めるかで迷うことはありませんか。

実務では、 「1本の竪樋が受け持つ屋根面積を出す」 →「設計降雨強度を決める」 →「必要な排水量を計算する」 →「メーカーの排水能力表で管径を選ぶ」 という流れで整理すると分かりやすくなります。

この記事では、陸屋根の竪樋計算について、実施設計や設計メモにも使いやすいように、できるだけシンプルにまとめます。


  1. 陸屋根の竪樋計算の基本フロー

陸屋根の竪樋計算は、次の4ステップで考えます。

1)1本の竪樋が受け持つ負担面積を求める 2)設計降雨強度を設定する 3)計画雨水量を計算する 4)ルーフドレンや竪樋の排水能力表から管径を選定する

考え方としてはとてもシンプルで、 「どれだけの面積に降った雨を、1本の竪樋で流すのか」 を数値化していく作業です。


  1. まずは負担面積を求める

最初に、1本の竪樋または1箇所のルーフドレンが受け持つ屋根の水平投影面積を求めます。

例えば、屋根全体が150平方メートルで、ドレンが2箇所ある場合は、

150 ÷ 2 = 75平方メートル

となり、1箇所あたりの負担面積は75平方メートルです。

この「1箇所あたりの負担面積」が、計算の出発点になります。

【外壁面がある場合の注意】 屋根の近くに大きな外壁面や塔屋、立ち上がりの高いパラペットがある場合は、その壁に当たった雨が屋根に流れ込むことがあります。

実務資料では、このような場合に 「外壁面積の50パーセントを加算する」 という考え方がよく使われます。

例えば、

屋根負担面積 75平方メートル 外壁面積 20平方メートル

であれば、

75 + 20 × 0.5 = 85平方メートル

として評価します。


  1. 設計降雨強度を決める

次に、どれくらいの強さの雨を想定して設計するかを決めます。 これが「設計降雨強度」です。

一般的な建築実務では、100mm/h前後をひとつの目安にすることがあります。 一方で、メーカー資料では180mm/hを基準にしている例もあります。

つまり、設計降雨強度は一律ではなく、

・自治体の基準 ・発注者の条件 ・社内基準 ・採用するメーカー資料

などに合わせて決める必要があります。

ブログ記事としては、 「一般的には100mm/h前後を目安にすることが多いが、採用基準によっては180mm/hなどを用いる場合もある」 と書いておくと分かりやすく、かつ安全です。


  1. 計画雨水量を計算する

負担面積と設計降雨強度が決まったら、次は1本の竪樋が処理すべき雨水量を計算します。

実務でよく使う簡易式は次のとおりです。

Q = R × A ÷ 3600

Q:計画雨水量(L/s) R:設計降雨強度(mm/h) A:負担面積(平方メートル)

【計算例】 屋根面積150平方メートル ドレン2箇所 設計降雨強度100mm/h

この場合、1箇所あたりの負担面積は75平方メートルなので、

Q = 100 × 75 ÷ 3600 Q = 2.08L/s

となります。

つまり、1本の竪樋または1箇所のルーフドレンには、少なくとも2.08L/s以上の排水能力が必要になります。


  1. 排水能力表から管径を選ぶ

必要な排水量が分かったら、最後にメーカーの排水能力表を見て、適切な管径を選びます。

例えば、一般的な目安として次のような数値が使われることがあります。

・50A:約1.1L/s ・75A:約3.2L/s ・100A:約6.9L/s

先ほどの計算例では必要流量が2.08L/sなので、

・50Aでは不足 ・75Aなら対応可能 ・100Aでも対応可能

という判断になります。

この場合、75Aが選定候補になります。

ただし、ここで大切なのは、 「最終的には必ず採用するメーカーの能力表で確認する」 ということです。

同じ75Aでも、メーカーや製品形式、ストレーナ形状、水深条件などによって排水能力は変わります。 そのため、あくまで上の数値は目安として考え、最後は採用製品のカタログで確定します。


  1. 実務で注意したいポイント

陸屋根の竪樋計算では、単純に面積を割って終わりではなく、次の点も確認しておくと実務で失敗しにくくなります。

・外壁面の50パーセント加算が必要か ・ルーフドレンの形式は立て引きか横引きか ・ストレーナの形状や水深条件はどうか ・竪樋の材質や実内径に違いはないか ・オーバーフローや非常用排水経路を確保しているか ・落ち葉や泥による詰まりリスクを見込んでいるか

特に屋上の主排水では、計算上は小さな径で足りる場合でも、維持管理性や詰まり対策を考えて75A以上を標準的に採用することも多くあります。


  1. まとめ

陸屋根の竪樋計算は、次の流れで整理すると分かりやすくなります。

1)1本の竪樋が受け持つ負担面積を求める 2)設計降雨強度を決める 3)必要な排水量を計算する 4)メーカーの排水能力表で管径を選ぶ

例えば、屋根面積150平方メートル、ドレン2箇所、設計降雨強度100mm/hであれば、1箇所あたりの必要排水量は2.08L/sとなり、一般的には75Aが選定候補になります。

ただし、実務では外壁面加算や製品ごとの能力差、オーバーフロー計画まで含めて確認することが大切です。 最終的には、採用するルーフドレン・竪樋メーカーの排水能力表に基づいて判断しましょう